冬、雪の上に残された足跡はときどき見かけても、実際の姿を見ることはほとんどない。 たまに里山などを歩いているときに、こちらの足音に驚いてあわてて飛び去っていくのを見かけることがある。 「飛んで逃げなければその存在に気がつかなかったのに・・・」 いつもそう思っていた。
その生き物とは、、、ヤマドリ。
「あれ? なんだろう?」 日曜の午後、スノーシュー遊びから小屋に戻り、帰宅準備をしているときだった。 彼が窓の外をじっと眺めている。 目線の先、雪の小山の影で何かが動いた。 「わっ、ヤマドリだ!」 フィールドスコープでのぞいたヤマドリは羽模様もくっきり見えて、予想外に美しい鳥だった。 「早く、早く、 カメラ〜!!」 彼は大慌てで小屋の2階に置いてあるデジカメを取りに行ったが、、、 こちらのちょっとした物音に気付いたのか、ヤマドリは視界の外へ。 「残念だったなぁ、また出てこないかな〜」 諦めきれずにテラスからじっと林の中を眺めている彼。 「あっ、出てきた!でも遠いな〜」
ヤマドリは 一度も振り返らず、そのままトコトコ歩いて林の奥に消えた。
「ヤマドリは飛ぶより歩く方が得意なのね。でもまた遊びに来てネ〜」