「ハチの巣撤去作業は、夜ハチが活動しないときにする」
ご近所のTさんから教えていただいた地元の人達のアドバイスに従い、夜暗くなってから彼は巣の外にハチがいないことを確認し、高い場所にある巣に直接スプレー薬剤が届くようにバルコニーに脚立を設置した。
「気をつけてね、無理は しないでよ。」
やさしい言葉をかけつつも、安全な室内で怖々見ている根性ナシの私である。
一方、彼は冬の厚手ジャンパーを着込み、帽子に厚手ゴム手袋をし、薬剤のスプレー缶を手にして勇ましく脚立を上がっていく。
巣から約1mのところまで精一杯手を伸ばし、シュッ!シューーーーッ!
スズメバチ専用の薬剤がものすごい勢いで噴射され、あたり一面噴煙が舞う。
巣からスズメバチが2〜3匹飛び出したが、すぐにポトリと落下。
さすがスズメバチ専用だけあって、約30秒の噴射で奇襲作戦終了!

翌朝、明るくなってから巣を撤去。
測ってみると直径約20cmもあった。
これ以上大きくなっていたら素人による撤去は難しかっただろう。
でも 昨夜 薬剤をスプレーした際に巣から出てきたハチは ほんの数匹だった。
他のハチたちはどうしたのだろうか?
巣に出入りするハチがいないことを確認し、巣を解体してみた。

中は三層になっていて、ハニカム構造で守られた部屋にはハチの子たちも・・・ そのまわりには戦士たちの変わり果てた姿。

「ハチの巣を撤去する」ということは、たくさんの命を奪うこと・・・
当たりまえのことかもしれないけれど、改めて殺生をしたことを認識。
後でネットで調べたら、「冬になると女王蜂以外はみんな死んで、巣はカラになる」とあった。
冬になるまで無事にやり過ごせば、後は空き家になって同じ巣が使われることはないらしい。
巣を作ったのがバルコニーでなかったら、私達が普段通るような場所でなかったら、世間であんなに「スズメバチは獰猛」「スズメバチの巣は危険」と報道していなかったら、私たちが彼らを殺すこともなかったのかもしれない。
今後またスズメバチが巣を作ったときどうすればいいのか、きっとその度に悩むことだろう・・・
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