冬、 雪の上に残された ヒヅメがしっかりわかる足跡
カモシカ ・・・
たった今立ち去ったばかりのような足跡を見つけても、その姿を見つけることは できない。 カモシカはいつもこちらの姿を先に見つけ、静かに、そしてゆっくり立ち去って行く。
5月のある朝、いつものようにスコープを持って二人でバードウォッチング。 突然、彼が小さな声で 叫んだ、 「わっ、 カモシカ !」 フィールドスコープを遊歩道脇に立てて森の中を覗いてた私たち、 すぐ近くで遊歩道を横切ろうとしていたカモシカ、 向こうも私たちに気が付いてこちらを眺めた。 思わず フィールドスコープを 遊歩道に向けた。
お互いを見つめあう静かなひととき・・・ しばらくして、ふとわれに返ったかのようにカモシカは 前を向き、
こちらを振り返ることもなく、ゆっくり立ち去って いった。