室内の嫌われ者


「カマドウマ(竈馬)」


 

「昔、台所の竈付近でよく見かけた馬のような虫」というちょっと微笑ましい名前を持つ虫。

寒くなるに従って、浴室でカマドウマを見かけるようになった。

どうやら基礎部分から越冬のために侵入してくるらしい。
私はこの虫をコオロギなどと同じ「秋の虫」という扱いで、見つけたら素手で捕まえて外に放している。


しかしこのカマドウマ、薬品メーカーなどでは「害虫」扱いになっている。

で、その被害の項目を見てみると・・・
「特にナシ」とか「湿気たところに現れて不快感を及ぼす」とか書いてある。

要は「何の悪さもしない」ということである。

それなのに、単に「人間に不快感を与える」という理由だけで殺されているようだ。
人間とはなんとおごりたかぶった生き物か・・・。

そういえば、子供の頃に祖母の家で「便所コオロギ」という別名を聞いたことがあった。

この虫を「不快」と感じるようになるのは、この誰が付けたかわからない別名のためかもしれない。

それを大人が子供に教える。
子供はカマドウマを「便所コオロギ」という不快な名前とともに記憶して忌み嫌うようになる。

結局親から子へと受け継がれるこの「ヌレギヌ」により、カマドウマは殺される運命にある・・・。
せめてわが家に入ってきた彼らだけは、無事に生き延びて欲しいと思う。


 

「カメムシ」


冬に山の秘湯に出かけると、浴室の窓枠に張り付いているたくさんのカメムシを見かけることがある。

また、田舎にログハウスを建てた人達からは「冬のログにカメムシは付き物」という話も聞いている。

春には庭のアザミに、カメムシがしがみついているのを時々みかけた。

ご近所の方の話では・・・
「最初の年は家の中にカメムシが入ってこなかったけれど、一度カメムシの侵入があると、どうやらカメムシ界で情報が出回るらしく、『ここにいい越冬場所があるぞ』とみんなで押しかけて来るようになる」

カメムシも特に悪さをするわけではない。でも、あの強烈なニオイがたまらない。

高い場所で勝手に壁に張り付いているだけなら構わない。

でも万一誤って踏みつけたりしたら、もう大変。しばらくあのニオイと一緒にすごさなければならない。

でも殺生はイヤなので、さっと捕まえて外に出て行ってもらうことにしている。

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